先日ご相談者様に質問をされました。
実家を相続するにあたって「誰が家を引き継ぐの?」「遺言がない場合はどうなるの?」
このような疑問を抱える方は少なくありません。
国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」によると、空き家の取得経緯の約56%が相続です。
相続をきっかけに空き家が発生するケースが最も多いにもかかわらず、相続の基本的なルールを正しく理解している方は決して多くないのが実情です。
ちなみに筆者は、相続や税金に関することはそろそろ義務教育にすべきではないかとすら考えています(笑)。
本記事では、実家が空き家になることを防ぐための前提知識として、法定相続人の順位と遺言の基本を整理いたします。
法定相続人の順位とは
相続が発生した際、誰が相続人になるかは民法で定められています。
これを「法定相続人」といいます。
では、その法定相続人とはどのようなものなのか、順番に見ていきましょう。
配偶者は常に相続人
被相続人(亡くなった方)の配偶者は、民法第890条により常に相続人となります。
他の順位の相続人と並んで、必ず相続権を持ちます。
第1順位:子
被相続人の子は第1順位の相続人です。
子がすでに亡くなっている場合は、その子(被相続人の孫)が代襲相続します。
詳しくは本記事では省略しますが、代襲相続とは、簡潔に言えば代理人のようなものです。
配偶者と子が相続する場合、法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです。
これはわかりやすく、二人で半分ずつということです。
子供に兄弟がいる場合などについては、その子の中で人数で割るというようになります。
第2順位:直系尊属
正式にはこの呼称ですが、直系尊属なんてややこしい言葉で覚える必要はありません。
子や孫がいない場合、被相続人の父母(直系尊属)が相続人になります。
配偶者と直系尊属が相続する場合、法定相続分は配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。
300万円あった場合、配偶者が200万円、親が100万円という風に覚えましょう。
親が父母ともにご存命の場合、その100万円を二人で分配します。
第3順位:兄弟姉妹
子も直系尊属もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
配偶者と兄弟姉妹が相続する場合、法定相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です.。
兄弟姉妹が複数人の場合の相続分については、他と同様の理屈です。
相続人が複数いる場合、実家はどうなる?
相続人が複数いる場合、遺言がなければ遺産分割協議によって誰がどの財産を取得するかを決めます。
協議がまとまるまでの間、不動産は相続人全員の共有状態になります。
しかしこの協議がなかなかまとまらないのが現実。
そして多くの家庭では、「うちは家族仲が良いから大丈夫」と考えて、何も対策をしていません。
空き家が共有状態のまま長期間放置されるケースは非常に多く、「誰が管理するのか」「費用は誰が負担するのか」が曖昧なまま老朽化が進む原因となっています。
共有者全員の合意がなければ売却も解体もできないため、意思決定が停滞しやすいのが共有不動産の大きなリスクです。
遺言があれば相続のトラブルを防げる
遺産分割協議でもめることを防ぐ最も確実な方法が遺言書の作成です。
遺言により、「実家は長男に相続させる」といった具体的な指定が可能になります。
主な遺言の種類
- 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自書し押印して作成します。
一般的に遺言と聞いたときに多くの方がイメージするのはこの方法です。
2020年7月からは法務局における自筆証書遺言書保管制度が開始され、紛失や改ざんのリスクを防ぐことができるようになりました。
- 公正証書遺言
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する最も確実性の高い遺言です。
当事務所が遺言の相談を受けた際におすすめするのも、この方法です。
原本が公証役場に保管されるため紛失の心配がなく、家庭裁判所での検認手続きも不要です。
費用はかかりますが、不動産を含む相続では公正証書遺言が最も推奨されます。
- 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま遺言の存在だけを公証人に証明してもらう方式ですが、実務ではほとんど利用されていません。
相続登記の義務化にも注意!
2024年4月1日から、不動産登記法第76条の2に基づき相続登記が義務化されました。
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければならず、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。
施行日前に相続した不動産で未登記のものについても、2027年3月31日までに登記を完了させる必要があります。
富山県内にも登記未了のまま放置されている空き家は多く存在するとみられ、早めの対応が求められます。
なお、相続登記の手続きそのものは司法書士の専門領域ですが、相続に伴う空き家の管理や活用に関するご相談は行政書士がお手伝いできます。
相続後の空き家を放置しないために
空家等対策特別措置法第3条は、空き家の所有者に適切な管理の責務を課しています。
相続によって空き家の所有者になった以上、管理責任は新たな所有者に引き継がれます。
遺産分割協議が長引く場合でも、その間に建物が老朽化すれば、管理不全空家への指定リスクや近隣への損害賠償リスクが生じます。
結論が出るまでの間、空き家管理代行サービスを利用して建物を適切な状態に保つことは、将来の選択肢を広げるうえでも有効な手段です。
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当事務所は「空き家・地域再生専門」の行政書士事務所として、富山県を拠点に、北信越全域の空き家バンク登録申請、空き家管理代行、そして空き家活用や補助金申請・融資サポートに対応しております。
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