皆さんは空き家を見たときにきっと、災害について考えたことがあるのではないでしょうか?
「空き家が地震で倒壊したら?」
「遠方に住んでいて、災害時に対応できない…」
2024年1月の能登半島地震は、富山県にも大きな揺れと被害をもたらしました。
この地震をきっかけに、空き家の防災上のリスクに改めて目を向ける方が増えています。
この記事では、空き家の所有者が知っておくべき防災上の注意点を、富山県の地域特性も踏まえて、行政書士であり、防災士の代表が解説します。
空き家の約7割が「旧耐震基準」の建物
空き家の防災リスクを考えるうえで、まず押さえておきたいのが建物の耐震性です。
国土交通省の調査によると、賃貸用・売却用・二次的住宅を除いた空き家のうち、
約77.5%が1980年(昭和55年)以前に建てられた旧耐震基準の建物です。
古い建物が多いのは知っているけれど、そんなに多いものなのかと驚きますよね…
旧耐震基準(1981年5月以前)の建物は「震度5程度の地震に耐えうる」ことが基準であり、それ以上の地震に対する明確な規定がありません。
一方、建築基準法の1981年改正で導入された新耐震基準では、「震度6強〜7程度の地震でも倒壊しない」ことが求められています。
つまり、全国の空き家の大半は、大地震に対する安全性が十分に確認されていない建物なのです。
1:地震による倒壊リスク
能登半島地震の教訓
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、旧耐震基準の木造住宅を中心に多数の倒壊被害が報告されました。
富山県内でも住宅の損壊被害が発生し、地震リスクは決して他人事ではないことが明らかになり、実際に地震を私自らが経験したことでこれまで以上に防災意識が高まるきっかけになりました。
空き家は人が住んでいないため、地震前の小さな異変(壁のひび割れ、基礎のずれなど)に気づきにくく、劣化が進んだ状態で大きな揺れを受けることになります。
管理されていない空き家ほど、地震時の倒壊リスクは高まります。
倒壊すれば所有者の責任に
地震で自らの物件を失うということは、所有者は被害者ということになります。
しかし、それだけでは済まない恐れもあるのです。
空き家が地震で倒壊し、隣家や通行人に被害を与えた場合、民法第717条第1項の工作物責任により、所有者は過失がなくても損害賠償責任を負う可能性があります。
空き家には占有者がいないため、所有者が最終的な責任を免れることはできません。
2:火災リスク(放火と通電火災)
管理されていない空き家は放火の標的になりやすいことは、総務省消防庁の統計でも裏付けられています。
令和5年の放火による出火件数は全国で2,495件、放火の疑いを含めると4,111件にのぼります。
加えて、災害時に見落としがちなのが通電火災です。
地震で一度停電した後、電気が復旧した際に、倒れた家具に押しつぶされた電気配線や破損した家電からショートして出火するケースがあります。
空き家ではブレーカーが入ったまま長期間放置されていることが多く、地震後に通電火災が発生するリスクが高くなります。
空き家を長期間不在にする場合は、ブレーカーを落としておくことが基本的な防火対策の一つです。
3:雪害リスク(富山県など雪国特有)
富山県は全国でも有数の降雪地域で、当事務所がある魚津市でも毎年のように豪雪が降り注いでいます。
富山県をはじめとする北信越エリアでは、冬季の積雪が空き家に深刻な被害をもたらします。
雪の重みによる屋根の崩落、落雪による隣家・通行人への危害、融雪水による外壁や基礎の劣化、雪解け後の雨漏りなど、これらはいずれも、管理されていない空き家で起こりやすい被害です。
特に落雪事故は、民法第717条の工作物責任として所有者の損害賠償責任が問われる可能性があります。
人が住んでいれば雪下ろしや排雪ができますが、空き家では対応する人がいないまま被害が拡大してしまいます。
雪かきや除雪といった管理をこまめに続けるしか、回避する方法はありません。
4:水害・浸水リスク
空き家の排水口や雨どいは、落ち葉やゴミで詰まっていることが多く、大雨時に排水が追いつかず浸水被害が起こりやすくなります。
また、空き家は窓やドアの建て付けが悪くなっていたり、外壁にひび割れがあったりと、雨水の侵入経路が多い状態です。
一度浸水すると、カビや木材の腐朽が急速に進み、建物全体の強度がさらに低下します。
空家等対策特別措置法第3条は、空き家の所有者に対し周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努める責務を課しています。
災害に備えた日頃の管理は、法律上の義務でもあるのです。
やはり、この防災対策においても、こまめなチェックとメンテナンスを怠らないということが最善です。
防災対策としての「定期管理」
先述しましたように、ここまで挙げた防災上のリスクは、いずれも定期的な管理によって大幅に軽減できます。
月数回の巡回点検で外壁や屋根の劣化を早期に発見できれば、地震や雪害による倒壊リスクを下げられます。
ブレーカーの状態確認やガス元栓の管理で通電火災を防ぎ、排水口や雨どいの清掃で浸水リスクも抑えられます。
遠方にお住まいで定期的な管理が難しい方は、地元の空き家管理代行サービスを活用することで、災害リスクへの備えを確保できます。
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