ご相談者様からいただくご意見の中に、次のようなものがあります。
「空き家を活用して飲食店を開きたいけど、どんなお店なら空き家と相性がいいの?」
「飲食店って色んなジャンルあるから、選ぶの難しいよ…」
富山県でも古民家カフェや地域食堂など、空き家を飲食店に転用する事例はあります。
ただし、空き家ならではの建物の特性を理解せずに始めると、改修費が膨らんだり、営業許可が下りなかったりすることも。
せっかく空き家を活用するなら、空き家の強みが活きる飲食店になった方がお店も賑わうし嬉しいし、地域も活性化するしで良いこと尽くしです!
この記事では、空き家の建物特性から逆算して「どんな飲食店が向いているか」を考えるヒントをお伝えします。
空き家で飲食店を開くための大前提
飲食店を営むには、食品衛生法第55条第1項に基づく営業許可が必要です。
許可を得るには、同法第54条に基づく施設基準をクリアし、管轄の保健所による検査を経なければなりません。
住宅の設備は飲食店の施設基準を満たしていないため、どの業態であっても厨房の改修は必須です。
2槽式シンク、専用の手洗い設備、十分な換気設備など、住宅のキッチンとは異なる要件が求められます。
このような初期費用は可能な限り抑えたいところですよね。
この改修コストが、空き家での開業成功の最初の分かれ道になります。
空き家の「強み」を活かせる業態を選ぶ
1:古い建物の雰囲気がそのまま武器になる
空き家の最大の強みは、新築では出せない「古さ」そのものの魅力です。
空き家の強みと聞いて最初にこれを思い浮かべた方は多いはずです。
太い梁や柱、土壁、格子窓といった和の意匠は、内装デザインにお金をかけなくても独自の空間を生み出します。
この強みを最も活かせるのが古民家カフェや喫茶店です。
和室をそのまま客席にしたり、縁側をテラス風に使ったりと、唯一無二の住宅の間取りが差別化ポイントになります。
魚津市をはじめ富山県東部は立山連峰や富山湾に近い豊かな自然環境があり、古い建物と自然景観の組み合わせは集客力のある空間をつくれます。
2:住宅街に立地しているからこそ活きる業態がある
空き家は住宅街や生活道路沿いにあることがほとんどです。
繁華街のように人通りは多くないかもしれませんが、地域密着型のお店であればむしろこの立地が強みになります。
近隣住民が日常的に通える小規模な食堂や定食屋は、住宅街の立地と相性抜群です。
私が暮らしていたことのある長野県では、このような地域密着型の食堂や定食屋さんがとても多く、その雰囲気も相まって、私のお気に入りのお店が何店かありました(笑)。
富山県は新鮮な海の幸に恵まれた地域でもあり、地元食材を使った家庭的なメニューは観光客にも地域住民にも響きます。
3:客席を広く取らなくてよい業態なら改修が少ない
どのような飲食店が向いているかを判断する要素は、「どんな飲食店が流行りか」だけではありません。
「初期費用がどれだけ少なく始められるか」ということも重要な要素です。
住宅の間取りを大きく変えるほど改修費は膨らみます。
逆に、客席面積が小さくて済む業態を選べば改修を最小限に抑えられます。
テイクアウト専門のパン屋・焼き菓子店はその代表です。
食品衛生法施行令第35条に定める営業許可業種では、パンの製造販売は「菓子製造業」に分類されます。
テイクアウト専門であれば客席の改修が不要でイートインの売上はありませんが、その分厨房の整備に集中投資できます。
空き家の「弱み」を知って対策する
水回り・排水の整備コスト
飲食店を開業する際に注目する初期費用は目に見える大きな機械などを想像しがちで、水回りや排水は後回しや忘れがちといったことが意外に多いケースです。
住宅の水回りは飲食店の基準に合っていないのが通常です。
特にグリストラップ(油脂分離装置)の設置や排水管の増設は、建物の構造や立地によっては大きな費用がかかります。
物件選びの段階で排水の状況を忘れずに確認しておきましょう。
用途変更の手続き
この点についても、ご相談者様との面談で初めて用途変更について知るということが多いのが現状です。
建築基準法第87条第1項により、住宅を飲食店に用途変更する場合、延べ床面積が200平米を超えると確認申請が必要です。
200平米以下でも、防火・避難に関する基準への適合は求められます。
消防設備の追加
飲食店は消防法上の「特定防火対象物」に分類されます。
消火器の設置や避難経路の確保が必要であり、収容人数が30人以上になる場合は防火管理者の選任も義務づけられます。
空き家には住宅用の火災報知器しか設置されていないことが多いため、消防署への事前相談も欠かせません。
開業前に保健所への事前相談を
業態を決めたら、物件の契約や改修工事に着手する前に必ず管轄の保健所に事前相談をしましょう。
富山県新川厚生センター(魚津市エリアの管轄)に物件の図面や改修計画を持参すれば、施設基準を満たすために必要な設備や改修箇所を具体的に教えてもらえます。
事前相談なしで改修を進めると、完成後の検査で基準不適合を指摘され、やり直しになるケースも少なくありません。
図面作成や申請書類の準備に不安がある場合は、行政書士に相談するとスムーズです。
まとめ
空き家で飲食店を始めるなら、建物の「古さの魅力」「住宅街の立地」「コンパクトな間取り」といった特性を強みに変えられる業態を選ぶことが成功のカギです。
古民家カフェ、地域密着型の小食堂、テイクアウト専門の製造販売店は、いずれも空き家との相性が良い業態といえます。
食品衛生法に基づく営業許可の取得には厨房設備の整備や施設基準への適合が必須ですので、改修前の保健所への事前相談を忘れずに行いましょう。
廣瀬アシスト行政書士事務所へのご相談はこちら
ご相談・お見積りはすべて無料です。
お気軽にご連絡ください。
TEL:080-2957-9028(8:30〜19:00)
当事務所は「空き家・地域再生専門」の行政書士事務所として、富山県を拠点に、北信越全域の空き家バンク登録申請、空き家管理代行、そして飲食店や居酒屋、旅館業などの空き家活用に加え、補助金申請・融資サポートに対応しております。
その他の地域の空き家にお困りの方も、まずはお気軽にご相談ください。
コメント