「うちの実家、しばらく誰も住んでいないけど大丈夫かな…」
「あそこの家ずっと人がいる感じしないな…」
放置された空き家は、犯罪者にとって格好のターゲットになります。
全国で空き家が約900万戸に達するなか、空き家を舞台にした犯罪は年々深刻化しています。
この記事では、空き家が利用されやすい犯罪の種類を具体的に解説し、空き家の所有者が知っておくべきリスクと対策をお伝えします。
空き家が犯罪に狙われやすい理由
空き家が犯罪に狙われるのは、偶然ではありません。
空き家が犯罪に悪用される背景には、「割れ窓理論」と呼ばれる犯罪学の考え方があります。
窓が1枚割れたまま放置された建物は、さらなる破壊行為や犯罪を誘発するという理論です。
例えば、郵便受けにチラシがあふれている、庭の雑草が伸び放題、窓ガラスが割れたまま等
こうした「管理されていない」ことが外から一目でわかる状態は、犯罪者に「ここは誰も気にしていない家だ」というサインを送ってしまいます。
では、具体的にどのような犯罪に利用されるのでしょうか。
1:放火・不審火
空き家に関わる犯罪のなかで最も深刻な被害をもたらすのが放火です。
総務省消防庁の統計によると、令和5年(2023年)の放火による出火件数は全国で2,495件、放火の疑いを含めると4,111件(全火災の10.6%)にのぼります。
放火は令和4年まで減少傾向にありましたが、令和5年には前年比11.3%増と再び増加に転じました。
空き家は人目がなく、可燃物が放置されていることも多いため、放火犯にとって発覚リスクの低い場所です。
しかも、空き家への放火は隣家や周辺に延焼する危険があり、人命に関わる大惨事に発展しかねません。
放火は刑法第108条(現住建造物等放火)で死刑または無期もしくは5年以上の懲役、第109条(非現住建造物等放火)で2年以上の懲役と、極めて重い刑罰が科される犯罪です。
しかし、所有者の管理不備が放火を誘発した場合、近隣への損害について民法第717条の工作物責任を問われるリスクもあります。
2:不法侵入・侵入窃盗
空き家を狙った侵入窃盗も多発しています。
空き家には家財道具や金属類が残されていることが多く、それ自体が窃盗の対象になります。
加えて近年深刻化しているのが、空き家を犯罪の拠点として利用するケースです。
公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会は、空き家や空き室が特殊詐欺の被害金や密輸された不正薬物の「受け取り場所」に悪用されるケースが後を絶たないとして、家主や管理会社に対し定期的な巡回を行うよう注意喚起しています。
不法侵入は刑法第130条(住居侵入罪)により3年以下の懲役または10万円以下の罰金の対象です。
しかし、犯罪拠点として利用されれば、所有者が知らないうちに重大犯罪に巻き込まれる可能性があるのです。
3:不法投棄
皆さんは空き家のどこを見て、ここが空き家だと感じるでしょうか?
私が空き家だと判断する要素の一つに、明らかにゴミだらけであるということが挙げられます。
管理されていない空き家の敷地は、産業廃棄物や生活ゴミの不法投棄場所としても悪用されます。
人目が少なく、所有者が来ない場所は、ゴミを捨てる側にとって都合がよい場所です。
一度ゴミが捨てられると、割れ窓理論と同様にさらなる投棄を呼び込み、短期間で深刻な状態になるケースもあります。
不法投棄は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第16条で禁止されており、違反した場合は同法第25条により5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下)という厳しい罰則が設けられています。
投棄したのは第三者であっても、放置された空き家の所有者が行政から土地の管理責任を問われ、撤去費用を負担せざるを得なくなるケースも発生してしまいます。
所有者が負う管理責任
空家等対策特別措置法第3条は、空き家の所有者または管理者に対し、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努める責務を課しています。
富山県の空き家率は14.7%と全国平均(13.8%)を上回っており、特に冬季は降雪の影響で巡回自体が困難になるため、犯罪の兆候を見逃しやすい環境といえます。
犯罪をしたのは自分ではないと思っていても、管理を怠った結果として近隣に被害が及べば、所有者の民事責任が問われる可能性があります。
定期的な管理によって「管理されている」という状態を保つだけで、犯罪を遠ざけるにはとても有効です。
まとめ:空き家の犯罪リスクは「管理」で防げる
先ほどご紹介した放火、不法侵入、不法投棄などの犯罪はいずれも起こってしまってからでは手遅れです。
そして、空き家が悪用される犯罪はいずれも、管理されていない状態が引き金です。
定期的に人が訪れ、郵便受けを整理し、敷地を見回るだけで、犯罪者に管理されているというメッセージを伝えられます。
それが、自分自身を、そして近隣の地域住民をも救うことになります。
遠方にお住まいで管理が難しい方は、空き家管理代行サービスの利用もぜひご検討ください。
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